読み方 今夜は月色白ければ、烏鵲 ( うじゃく ) も驚いて叫ぶことの滋 ( しげ ) し。声の悲しければ郷国を思えども、知らず何 ( いず ) れの処 ( ところ ) にか依 ( よ ) るべからんを。   ― 良寛作、中秋に月を賞す ―
通釈
今夜は月光が清く明るいから、かささぎも驚いて昼とでも勘違いしてか、しきりに大きな声で鳴いている。さて、その鳴き声がもの悲しいので、郷愁をさそわれて故郷のことがしのばれるけれども、故郷は遠いので旅先にいる自分は、どこに身を安んずる事ができるのであろうかを知らない。
語釈
良寛 (1757〜1831  江戸後期の禅僧。書を善くし、詩歌にすぐれた ) 烏鵲 ( かささぎ ) 郷国 ( ふるさと )

【講評】 錬度の高い筆線によって構成された見事な作品。