読み方
雨に対して君子を思い、茶を嘗 ( な ) めて竹幽に近し。儒家古寺に隣りするも、到らずして又秋に逢う。                         ― 賈 ( か ) 島作、雨中友人を懐 ( おも ) う ―
通釈
今日ふる雨にむかって、才徳高い友人のことを思いながら、茶を飲んで奥深い静かな竹やぶに近いところに座っている。儒学を修めた友人が、私の居るこの古寺のとなりに住んでいるのに、その友人を訪ねることもしないで、また秋の季節となってしまった。
語釈
賈島 (779 ― 843 中国中唐の詩人 ) 君子 ( 才徳のそなわった人 ) 竹幽 ( 奥深く静かな竹やぶ ) 儒学を儒家儒学を修めた学者。儒学とは孔子を祖とする仁義・道徳の教えを研究する学問 )

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