読み方
海客天風に乗じ、舟を将 ( も ) って遠く行役す。譬 ( たと ) えば雲中の鳥の如 ( ごと ) し。一たび去って蹤跡 ( しょうせき ) 無し。                     ― 李白作、估客 ( こかく ) の行 ( こう ) ―
通釈
旅商人は大空の風に乗じて、船で遠くに出かけて用事をする。それは、まるで雲の中へ飛び立った鳥のようだ。行ったきり、とんとゆくえが分からない。
語釈
李白 (701 ― 762. 中国盛唐の大詩人 ) 估客 ( あきんど。商人 ) 行 ( 楽府体 ( がくふたい ) の一種で歌と同じ意味 ) 海客 ( 船に乗る人。旅商人 )  行役 ( 用事で旅行すること ) 蹤跡 ( あしあと。ゆくえ )

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