読み方
山空 ( むな ) しくして樵斧 ( しょうふ ) 響き、嶺を隔てて人家有り。日落ちて潭 ( たん ) 樹を照らし、川明らかにして風花を動かす。                  ― 陳与義作、山を出 ( い ) づ ―
通釈
山はひっそりとして静かであるが、ただ、きこりが木をきるおのの音が響いてくる。そして峰ごしに人家が見える。日は西に落ちて夕日の光がふちにさしこみ、それがはねかえって、あたりの樹々を照らしている。川はまだ明るく、風が水辺の花を動かしている。
語釈
陳与義 (1090〜1138  中国宋代の詩人・役人 ) 空 ( ひっそりとしていること ) 樵斧 ( きこりのおの ) 潭 ( ふち。水がよどんで深い所 )

【講評】 不断の勉強の跡の窺える見事な首席作品です。