読み方
「 帆を揚げて彭沢 ( ほうたく ) を過ぐれば、舟人訝 ( いぶか ) りて嘆息 ( たんそく ) す。見ず柳を種 ( う ) えし人。霜風空 ( むな ) しく寂歴たり。                    ― 孟 ( もう ) 郊作、彭沢を過ぐ ― 」
通釈 帆をあげて舟で彭沢のあたりを通り過ぎていくと、舟の人々は不思議に思ってためいきをつくのであった。昔のむかし家の前に柳を植えていた陶淵明を、今ではもちろん見ることが出来ず、ただ霜気を含んだ寒い風がさびしそうに吹き渡っているばかりであった。
語釈
孟郊 (751〜814  中国中唐の詩人 ) 彭沢 ( 中国の県名。江西省にあり揚子江に臨む。むかし陶淵明が県令になった所。 ) 訝 ( 不思議に思う。彭沢が陶淵明にゆかりのある土地なので、何か変わったところがあるだろうと予想していたのに、何の異なるところもないので、不思議に思ったのである。 ) 寂歴 ( ものさびしいさま )

【講評】 意前筆後を心得た見事な作品です。