読み方
遅日江山麗しく、春風花草香 ( かんば ) し。泥融 ( と ) けて燕子 ( えんし ) 飛び、沙 ( すな ) 暖かにして鴛鴦 ( えんおう ) 睡 ( ねむ ) る。                 ― 杜甫 ( とほ ) 作、絶句 ―
通釈
暮れるのが遅い春の日ざしをうけて、川も山もうるわしく、春の風にはこばれて花や草がにおってくる。泥がとけたので、つばめは巣をつくろうと飛びまわり、水辺の砂が暖かなので、おしどりがここちよげに眠っている。
語釈
杜甫 (712 ― 770  中国盛唐の詩人・役人 )  絶句 ( 四句からなる短い詩をいう ) 泥融 ( とけた泥をくわえて行って、つばめは巣を作る ) 燕子 ( つばめ。子は添え字 )  沙 ( すな。水辺の砂地 )  鴛鴦 ( おしどり。おすを鴛といい、めすを鴦という )

【講評】 勁健な筆致の申し分の無い首席作品です。