読み方
郊原は盛夏に当たれば、遠近に稲麻は深し。借問す 何人 ( なにびと ) の屋ぞ。 桔槹 ( けっこう ) の樹陰に 傍 ( そ ) いたるはと。                                       ― 宇野 醴 ( れい ) 泉作、夏日郊行 ―
通釈
田舎の野原は、夏の暑いさかりに当たっているから、遠い所にも近い所にも、稲や麻が深くおいしげっている。更に歩いて行くと、一軒家が目についたので、試みに家人にたずねてみる、「どういう人の家屋であるのか。はねつるべが樹木の陰に寄り添うてある家は」と。
語釈
宇野醴泉 (1722-1779  江戸中期の漢学者。近江の人。詩書に巧みであった。 ) 郊行 ( 郊外を散歩すること ) 借問 ( 試みにたずねること ) 桔槹 ( はねつるべ )

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