読み方 |
雲は散じて江山美しく、雨は収まりて草木濃し。橋を過ぎたれば寺有るを知りぬ。 彷彿 ( ほうふつ ) と疎鐘をも聴きぬ。
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景徐周 麟 ( りん ) 作、便面を
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通釈 | 空の雨雲は、ばらばらに散り去って、川の 風情 ( ふぜい ) も 、山の色彩も美しくなり、雨はすっかりやんで、草木の葉の色が、鮮緑に濃く見える。一人の僧が橋を渡って帰って行くので、そのあたりに寺がある事を知った。その 折 ( おり ) 、遠くで、ぼんやりと、まばらに鳴っている夕暮れのあいずの鐘の音をも、気をつけて聞いた。
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語釈 | 景徐周麟 ( 日本の室町時代中期の禅僧。漢詩を善くした。 ) 便面 ( 扇。この詩は扇の表面の絵を詠じた作。 ) 彷彿 ( ぼんやりとして明らかでないさま ) 疎鐘 ( まばらに鳴っている鐘の音 )
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【講評】 結構整斉、筆力勁健な素晴らしい作品です。