読み方
山の半腹に 躋攀 ( せいはん ) して、 暫 ( しばら ) く一枝の ( つえ ) を ( ささ ) うれば、飛雲は脚底を過ぎつつ、我に先んじて前峰に到れり。          ― 尾池 桐 ( とう ) 陽作、山行 ―
通釈
山の半腹に、よじ登って、少しの間、一本の竹の 杖 ( つえ ) をつっぱって立って休んでいると、ふもとの方から飛んで来る雲は、足もとを過ぎながら、自分よりも先に、目の前の峰に行きついてしまった。
語釈
尾池桐陽 ( 江戸後期の漢学者。讃岐の人 )  半腹 ( 中腹 ) 躋攀 ( よじ登ること ) 一枝 ( 一本 )   ( 竹の杖 ) ( 身をもたせて、つっぱること ) 脚底 ( 足もと )

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