読み方
二老は春江の岸に、舟を 維 ( つな ) ぎてより 軟沙を歩めり。立ちて談ずるは 底事 ( なにごと ) にか 縁 ( よ ) れる。商確して梅華に 到 ( いた ) らんとすらし。
                               ― 惟 ( い ) 忠通 恕 ( じょ ) 作、画に題して ―
通釈
二人の老釣客は春の大河の岸で、舟を 杭 ( くい ) につないでから軟らかい砂の上を歩いて行くのであった。やがて、その二人が立ち止まって話を始めたが、話の内容は何事に、かかわりあっているのだろうか。どうやら、前方に梅林を認めたので、帰宅か花見 かを引きくらべ、相談して決めた結果、梅花を見に行こうとするのであるらしい。
語釈
惟忠通恕 ( 日本の室町時代前期の禅僧。漢詩を善くした。 )  題画 ( 山水などの絵に、それにちなんだ詩をしるすこと ) 底事 ( 何事 ) 商確 ( 相談して、はっきり決めること )

【講評】 結構・潤滑・疎密などを良く研究している。