読み方
一 ( いつ ) に思う少年の時に、読書しつつ空堂に在りて、灯火に 数 ( しばしば ) 油を添えしが、 未 ( いま ) だ冬夜の長きをも 厭 ( いと ) わざりしを。             ― 釈良寛作、冬夜は長し ―
通釈
今日に及んで専ら思う、少年時代に、本を読みながら、人けのないがらんとした室におって、行灯の明かりが消えそうになると、幾度も幾度も油皿に油をつぎ足したけれども、まだ冬の夜の長いのを、いやには思わなかったことである。
語釈
釈良寛 (1758-1831  江戸時代後期の禅僧。歌人。越後の人 )  空堂 ( 人けのないがらんとした室 ) 油 ( 菜種油 )

【講評】 不断の努力が物を言った素晴らしい首席作品。