読み方 | 伐木の 丁丁 ( とうとう ) は 罷 ( や ) みて、山雲は雨を送って来りぬ。 樵人 ( しょうじん ) は 捷径 ( しょうけい ) を求めつつ、独来に薪を 湿 ( うるお ) して 回 ( かえ ) る。
― 原采蘋 ( はらさいひん ) 作、即事 ― |
通釈 | 薪を取る木こりが、山で木を切る、とんとんという音が途絶えて、やがて、山の上を行く雲は、雨を送ってきた。そこで、木こりは近道を探し求めながら、ただ独りで、背中に負うた薪を、山雨にぬらして、急いでふもとの村に帰って来る。
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語釈 | 原采蘋 ( 徳川後期の閨秀詩人。筑前の人 ) 即事 ( その場で、見たり聞いたりした事物を詠じた作。 ) 丁丁 ( 木を切る音 ) 樵人 ( 木こり ) 捷径 ( 近道 ) 独来 ( ひとり。来は助字 )
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【講評】 結構整斉、筆力勁健な素晴らしい作品です。