読み方
「 鳥語れば幽意足り、雲浮べば遠情多し。一僧は寺門に立ち、斜照に半山明らかなり。
                                         ― 夢 巌 ( がん ) 祖応作、古意 ― 」
通釈 鳥が鳴くと、それを聞く度に、私は深い静かな色々の思いが十分に湧いて来る。又、雲が浮かんでいると、それを見る度に、私は遠くにいる人を思いやる心情がたくさん浮かんで来る。一人の僧は、寺の門の前に立って、門を開けるのを待っているようである。今はちょうど夕日が照っているために、山の半分がぱっと明るくなっている。
語釈
夢巌祖応 (? ― 1373  日本室町時代の僧。文章をよくした。 ) 古意 ( 漢詩の古体 ) 幽意 ( 深い静かな思い ) 遠情 ( 遠くにいる人を思いやる心情 ) 斜照夕日・西に傾いた日 )

【講評】 研究の跡の窺がえる素晴らしい首席作品です。