読み方 |
「
一声孤月の下。血に 啼 ( な ) いて聞くに 堪 ( た ) えず。半夜 空 ( むな ) しく枕を 欹 ( そばだ ) て、古郷万里の雲。
―
正岡子規作、 子規 ( ほととぎす ) を聞く
― 」 |
通釈 | ぽつんともの寂しい月が、その光をさしている所で、ほととぎすの鳴き声が一声響きわたる。その痛切な鳴き声は、聞くに堪えない。旅人は鳴き声で夜中目をさまし、枕をかたむけ、はるか離れた故郷に思いをはせるのである。 |
語釈 | 正岡子規 (1867 ― 1902 明治時代の歌人・俳人。漢詩もよくした。この漢詩は 11 歳の時の作である。 ) 啼血 ( 鳴いて血を吐くこと。ほととぎすの痛切な鳴き声の形容。 ) 半夜 ( 夜中 ) 欹枕 ( 枕を傾けること。聞き入るしぐさ ) 古郷 ( 故郷 )
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【講評】 鍛錬の跡の窺える素晴らしい首席作品です。