読み方
「 山色遠近無く、山を看 ( み ) て終日行く。峰巒 ( らん ) 随所に改まり、行客名を知らず。                                 ― 欧陽脩 ( しゅう ) 作、遠山 ― 」
通釈 山のけしきは遠近の区別なく、まことによいながめであり、その山をながめながら、 1 日じゅう旅をつづける。みねの形は行くさきざきで変るが、旅人である私には、その名前などわからない。
語釈
欧陽脩 (1007 ― 1072 。中国宋 ( そう ) 代の文人・役人。詩文に巧みで、文章は唐宋八大家のひとりに数えられる。 ) 山色 ( 山のけしき ) 看 ( ながめること ) 終日 ( 一日じゅう ) 峰巒 ( みね。山の頂 ( いただき ) 。区別すれば、峰は頂のとがったもの、巒は頂の丸いものである ) 随所 ( いたるところ。行くさきざき ) 行客 ( 旅人 )

【講評】 字形が整い、筆力も備えた卓抜した作品です。