読み方
「 雲 霞 ( か ) 未 ( いま ) だ旧を辞さざるに、梅柳 忽 ( たちま ) ち春に 逢 ( あ ) う。不分なり 瓊瑤 ( けいよう ) の雪、来りて 潤 ( うるお ) す旅客の 巾 ( きん )
― 菅原清公 ( すがわらのきよとも ) 作、冬日 ( べん ) 州の上源駅にて雪に 逢 ( あ ) う ― 」
通釈
空模様は相変わらず冬のままなのに、梅や柳の木々が急に真っ白な春の装いに変わった。はからずも美しい白玉のような雪が、舞い落ちてきて、旅人の 頭巾 ( ずきん ) をぬらしたのだ。
語釈
菅原清公 (770-842 道真の祖父にあたる。学術にひいで、文章博士、大学頭ほか要職につき、また遣唐判官として唐に至り、徳宗に謁見している。 ) 州上源駅 ( 州は、今の河南省開封市で、唐代大運河の北の終点。上源駅は州の宿場 ) 雲霞 ( 空模様 ) 不分 ( はからずも。思いがけず ) 瓊瑤 ( 美しい白玉 ) 巾 ( 頭巾。布で作ったかぶりもの )

【講評】 運筆にこだわりの無い素晴らしい作品です。