読み方
月黒く漁灯を見る。孤光一点の蛍。微微として風は浪を簇 ( そう ) し、散りて作 ( な ) す満河の星。
                                             ― 査慎行作、舟夜所見を書す ― 」
通釈 月のない暗い夜に、漁船のともし火を見た。一つきりの明かりは一点の蛍の光りのようである。かすかに吹いた風が水を波だたせ、水面の光はくだけて満点の星のようになった。
語釈
査慎行 (1650-1727 。中国清代の詩人・役人 ) 舟夜 ( 舟の中ですごす夜 ) 所見 ( 見たことがら ) 月黒 ( 月のないくらい夜 ) 漁灯 ( 漁船のともし火 ) 孤光 ( ただ一つの明かり ) 一点蛍 ( 蛍のような一点の光 ) 微微 ( かすかに ) 簇 ( むらがり生じる。ここでは風が波をおこすこと ) 満河星 ( 銀河の星々。満天の星 )

【講評】 線質に見所のある卓抜した作品です。