読み方
「 桃の紅 ( くれない ) は復 ( ま ) た宿雨を含み、柳の緑は更に春烟 ( えん ) を帯ぶ。花落ちて家僮 ( どう ) 未 ( いま ) だ掃 ( はら ) わず、鶯 ( うぐいす ) 啼 ( な ) いて山客猶 ( な ) お眠る。      ― 王維作、田園楽 ― 」
通釈 赤く咲いた桃の花に、よいごしの雨が残っており、柳の緑は、もやにかすんで一段と情趣深い。花が散ったが召し使いはまだ掃かず、鶯がのどかに、さえずるのに、山村の人はまだ目が覚めない。
語釈
王維 (699-761 。中国盛唐の詩人・役人。絵画も得意で南画の開祖となった ) 田園楽 ( いなかで暮らす楽しさ ) 宿雨 ( よいごしの雨 ) 春烟 ( 春のもやや霞のたぐい ) 家僮 ( 召し使い ) 山客 ( 山村に住む人 )

【講評】 線質の大変優れた堂々とした首席作品です。