読み方
幽懐煙水を念(おも)い、長く恨む竜沙(さ)に隔てらるるを。今日滕(とう)王閣。分明に落霞(か)を見る。
                                                  ― 銭起作、滕王閣 ― 」
通釈 心の中で、川のもやにかすむ滕王閣を想像しながら、遠く竜沙に隔てられているため見る機会はないと恨めしく思っていた。しかし、今日、滕王閣を見ることができた。空には夕焼け雲が美しく輝いている。
語釈
銭起 (722 ― 780 ?中国中唐の詩人・役人 ) 滕王閣 ( 唐の太宗の弟、滕王李元嬰が建てた楼閣。江西省南昌市の西、章江門のほとりにある ) 幽懐 ( 心の中 ) 煙水 ( もやのたちこめる川 ) 長恨 ( 消えることのない恨み ) 竜沙 ( 滕王閣のそばを流れる 江の北方にある地。竜のような地形で、砂が真っ白なのでいう ) 分明 ( はっきりと ) 落霞 ( 夕焼け空 )

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