読み方
東来千里の客、乱定まりて幾年にか帰らん。腸 ( はらわた ) は断つ江城の雁 ( かり ) 、高高と正に北に飛ぶ。                          ― 杜甫作、帰雁(きがん) ―」
通釈 私は東から千里も遠くへやってきた旅人とである。何年たったら、兵乱が収まって帰れるのだろう。成都に来ていた雁が、高だかと今しも北へと飛んでゆくのを見て、はらわたもちぎれんばかりに悲しい。
語釈
杜甫 (712 〜 770 。中国盛唐の大詩人。李白と並称されて李杜といわれる ) 帰雁 ( 春に北へ帰る雁 ) 東来 ( 東から来ること。徒歩の郷里鞏県は、成都からみて東である ) 乱 ( 安禄山と史思明の反乱、いわゆる安史の乱が平定されてからも、チベット軍の断続的な来攻があった ) 江城 ( 成都のこと。この詩を作ったとき、杜甫は 53 歳で、家族と一緒に成都に澄んでいた )

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