読み方
朔 ( さく ) 風に因りて至ると雖 ( いえど ) も、瑤 ( よう ) 台の側 ( かたわ ) らに向わず。惟 ( ただ ) 苦寒の松を助け、偏 ( ひとえ ) に後凋 ( ちょう ) の色を明らかにす。          ―銭起作、松下の雪 ― 」
通釈
きびしい北風にのってやって来るけれども、雪は立派な高殿のほうに向おうとしない。ただ、この寒さに耐えている松を助けて、松の鮮やかさをひときわ秀でさせている。
語釈
銭起 (722 ― 780?  中国中唐の詩人・役人 ) 朔風 ( きたかぜ ) 瑤台 ( 仙人がいるといわれる立派な高殿 ) 側 ( そば。わき ) 苦寒 ( 寒さに耐えること )  偏 ( ひときわ。とくに ) 後凋 ( 衆木の葉が落ちてしぼむときに、まだしぼまないこと )

【講評】 筆触に少しの隙も無い堂々とした首席作品。