読み方
「日暮れて蒼 ( そう ) 山遠く、天寒くして白屋貧し。柴 ( さい ) 門に犬の吠 ( ほ ) ゆるを聞く。風雪夜帰の人。         ― 劉 ( りゅう ) 長卿 ( けい ) 作、雪に逢 ( あ ) い芙 ( ふ ) 蓉 ( よう ) 山主人に宿る ― 」
通釈
夕暮れの山路はどこまでも遠く、寒さがまして山村の貧しい家に泊めてもらった。しばの門のあたりで犬の吠える声が聞こえた。吹雪の中、夜遅くに投宿する人がいるようだ。
語釈
劉長卿 (710? ― 785?  中国中唐の詩人・役人 ) 芙蓉山 ( 未詳。湖南省桂陽県にある山、また山東省臨沂市の山など、確定しがたい。 ) 主人 ( 泊めてくれた家の主人 ) 蒼山 ( 夕暮れの中に重なり連なった山々 ) 白屋 ( かやぶきの粗末な家 )  柴門 ( しばで造った門 )  帰 ( 身を寄せること )

【講評】 線質の極めて優れた非の打ち所の無い作品。