読み方
「 万木已 ( すで ) に清霜、江辺村事忙し。故渓黄稲熟す。一夜夢中に香 ( かんば ) し。   ― 銭 ( く ) 作、江行無題 ― 」
通釈
「 木という木はすでに清らかな霜にうたれて落葉し、川のそばの村では秋の取り入れで忙しい。故郷の谷川ぞいの村では稲が黄金色に実のっていることであろう。ある夜、夢の中で稲の香りにつつまれた。 」
語釈
「 銭 (853 年前後在世 中国晩唐の詩人・役人 ) 江行 ( 川を舟で行くこと ) 万木 ( 木という木。すべての木 ) 清霜 ( 清らかな霜 ) 村事 ( 農作業 ) 故渓 ( 故郷の谷川 ) 黄稲熟 ( 稲が黄金色に実ること ) 」

【講評】 剛直な筆致の秀抜した作品です。