読み方
「 巌 ( がん ) 松雲を払って高く、下に潺 ( せん ) 湲 ( かん ) の水有り。夜深くして明月来たれば、金波樹上に起こる。
                                           ― 梁 ( やな ) 田蛻 ( ぜい ) 巌作、画に題す ― 」
通釈
「 大きな岩の上の松は雲に触れるほど高く、その下には、さらさらと川が流れている。夜更けに明月が上がると、水面の松の影に金色の波が生じる。 」
語釈
「 梁田蛻巌 (1672-1757  江戸前期の儒者。漢詩もよくし関西詩壇の重鎮となった ) 題 ( ある事物について述べること ) 払雲 ( 雲にとどくほど高いこと ) 潺湲 ( 水の流れる擬声語。さらさら ) 樹上起 ( 水面に映っている松の影に金色の波が生じているようす ) 」

【講評】 鋭敏な筆致の申し分の無い作品です。