読み方
「 荊 ( けい ) 渓白石出 ( い ) で、天寒くして紅葉稀 ( まれ ) なり。山路元 ( もと ) 雨無く、空翠 ( すい ) 人の衣を潤 ( うるお ) す。
                                                                 ― 王維作 山中 ― 」
通釈
「 荊渓の水はすみきって、底の白い石があざやかに見え、空も寒くさびしげなこのごろ、もみじした木の葉も残り少なとなった。
山道にはずっと雨は降っていないのだが、山の気が私の衣服をしめらすように感じられる。 」
語釈
「 王維 (699 ― 761 。中国盛唐の詩人・役人絵画も得意で南画の開祖となった ) 荊渓 ( 陜西省藍田県に源を発する川の名 )
空翠 ( 山の気 ) 人衣 ( 山道を歩く作者自身の衣服 ) 」

【講評】 字形め線質ともに卓抜した首席作品です。