読み方
「竹密にして能 ( よ ) く水を通し、花高くして春を隠さず。風光誰 ( たれ ) か是 ( こ ) れ主。好日詩人に属す。―夏目漱石、春日偶成―」
通釈 竹むらは密生しているが、その間にせせらぎを通わせることができ、木の花は高い枝に咲いて、春のおもむきをおしげもなく見せている。風と光にあふれた春の景色は、だれが持ち主となれるのか。このようなよい時節こそ、詩人の所有に帰するのだ
語釈
夏目漱石 (1867 ― 1916 。英文学者・小説家・俳人。名は金之助。東京の人。漢詩もよくした。 ) 偶成 ( 思いがけなくできること ) 風光 ( 景色・眺め ) 好日 ( よき風景の日 ) 属 ( 所有すること )

【講評】 努力の跡の窺がえる秀抜下首席作品です。