読み方
「 俯 ( ふ ) 仰すれば両 ( ふた ) つながら青空。舟は行く明鏡の中。蓬 ( ほう ) 莱 ( らい ) 定めて遠からず。正に一 ( ばん ) の風を要するのみ。
   ― 陸游作、瑞 ( ずい ) 安江に泛 ( うか ) べば風濤 ( とう ) 貼 ( ちょう ) 然たり ― 」
通釈
見上げても見下ろしても、いずれも青々とした空が広がるばかり。船はこの澄みわたった鏡のような川の上を進んで行く。仙人が住むという東海の小島も、きっとここから遠くはあるまい。帆いっぱいの風がさっと吹きさえすれば、それでたどり着くはずだ。
語釈
陸游 ( 一一二五 ― 一二〇九。中国南宋の詩人・役人 ) 瑞安江 ( いまの浙江省瑞安市を流れる川 ) 貼然 ( おだやかで落ち着いたさま ) 蓬莱 ( 仙人が住むという東海の小島 ) 定 ( きっと ) 一風 ( は帆の別字。満帆の風ということ )

【講評】 厳しい練習の跡の窺がえる首席作品です。