読み方
「 空洲夕煙斂 ( おさま ) り、月を望む秋江の裏 ( うち ) 歴歴たり沙上の人、月中孤 ( ひと ) り水を渡る。
                                             ― 劉 ( りゅう ) 長卿 ( けい ) 作、江中月に対す ― 」
通釈
「 静かな中州に夕もやが消えゆき、さえわたる秋の月を川からながめる。岸の砂の上の人影は、くっきりと照らしだされており、
我ひとり月光の降りそそぐ中を舟で川を行くのである。 」
語釈
「 劉長卿 ( 七一〇?―七八五?中国中唐の詩人・役人 ) 空洲 ( 静かな中州 ) 夕煙 ( 夕もや ) 斂 ( 消えること ) 裏 ( なか )
歴歴 ( 明らかなさま ) 沙上人 ( 岸辺の人 ) 渡水 ( 川を舟で行くこと ) 」

【講評】 多年の練磨の跡の窺がえる卓抜した首席作品。