読み方

聞くこと緑条の上従 ( よ ) りし、散じて香風の遠きを逐 ( お ) う。故 ( ことさら ) に花落つるの時を取り、悠揚として春晩を占む。                    ― 劉 ( りゅう ) 禹 ( う ) 錫 ( しゃく ) 作、柳花の詞 ―

通釈

柳のわたは緑の枝から開き、花の香を追うように風に乗って飛んでゆく。
百花の散る時を特に選び、ゆったりと晩春の主役を演じている。

語釈

劉禹錫 ( 七七二―八四二。中国中唐の詩人・役人。白居易と親交があった ) 柳花 ( ここでは柳のわたを言う。柳は葉が伸びない前に暗紫色の花をつけ実を結ぶ。熟した実は綿毛をもった種をとばす。これが柳絮で、通常柳の花とも言う。 ) 詞 ( 歌えるように作った詩 )  緑条 ( 緑の枝 ) 悠揚 ( ゆったりとしていること ) 春晩 ( 晩春。押韻のための倒置 )

【講評】 気韻の生動した一頭地を抜いた作品です。