読み方

昨夜一霎 ( しょう ) の雨。天意群物を蘇 ( よみがえ ) らす。何物ぞ最も先に知る。墟庭草争いて出 ( い ) づ。                               ― 孟 ( もう ) 郊作、春雨の後 ―

通釈

きのうの夜さあっと雨が降った。天の意思が、冬に耐えた万物の命をよみがえらせたのだ。そのことを一番先に知ったものは何か。人けのない我が家の庭に、草が先を争って生え出した。

語釈

孟郊 ( 751―814。中国中唐の詩人・役人 ) 一霎雨 ( 短い時間にさっと降る雨 ) 天意 ( 天の意思。自然の道理 ) 群物 ( あらゆる生き物 ) 墟庭 ( 人気のない庭。何もない庭。隠者暮らしの境遇を暗示する )

【講評】 結構・線質共に秀抜した作品です。