読み方

夜桑乾の雪に戦い、秦 ( しん ) 兵半ば帰らず。朝来郷信有りて、猶自 ( なお ) 征衣を寄す。
                                            ― 許渾 ( こん ) 作、塞 ( さい ) 下曲 ―

通釈

一夜桑乾河のあたりの雪の中で戦い、わが兵士は半分帰って来なかった。朝早く郷里よりのたよりが有って、その上に夫の征衣を送ってきたとは。

語釈

許渾 ( 七九一―八五四?中国晩唐の詩人・役人 ) 塞下曲 ( 万里の長城のあたりに遠征したときの歌 )
桑乾 ( 桑乾河。中国山西省北部から出て河北省に入る河の名 ) 秦兵 ( 唐の兵士をいう。直接唐兵と言うのを避けて秦代を借りている ) 朝来 ( 朝早くから ) 郷信 ( ふるさとのたより ) 征衣 ( いくさの時に着る着物 )

【講評】 線質について良く研究している。今後を期待。