読み方

旅人征棹 ( とう ) に倚 ( よ ) り、薄暮労歌起こる。笑いて攬 ( と ) る青渓の月。 清輝多きを厭 ( いと ) わず
―張旭 ( きょく ) 作、清渓に舟を泛 ( う ) かぶ―」

通釈

「旅にある私は遠行の舟べりにもたれる。夕暮れになると、別れの歌声がおこった。 笑って青い谷川に映る
月をすくい取ってみる。美しく清らかな光はまぶし過ぎてもかまわない。」

語釈
「張旭 ( 西暦七一一年前後 中国盛唐の書家・詩人 ) 征棹 ( 遠く旅する舟 ) 薄暮 ( 夕暮れ ) 労歌 ( 別れの歌 )
攬 ( すくい取る ) 清輝 ( 月の美しく清らかな光 )」

【講評】 細部まで観察の行き届いた秀抜作品です。