読 み方
「 前に古人を見ず、後に来者を見ず。天地の悠々たるを念(おも)い、独り愴然として涕(なみだ)下る。
                                      ― 陳子ミ作 幽州台に登るの歌 ― 」
通 釈 幽州の高台に登って、過去・将来を思うと、前に古の聖人もなく、後に未来の賢人もなく、天涯孤独の感におそわれる。更に天地の広大なるを俯仰し、宇宙の悠久なるを観 察すると、人間のいかにも微小なことが思われて、感慨無量、悲しさに涙が落ちるのを禁じ得ない。
語 釈
陳子ミ(六六一―七〇二。初唐の役人・詩人) 幽州(昔の燕の地、今の河北省の北部にあたる。) 愴然(いたみ悲しむさま。)

【講評】 形、流れ、潤滑の妙、抜群。よって一席です。