読 み方
「 君を懐(おも)いて秋夜に属す。散歩して涼天に詠ず。山空(むな)しうして松子乙落つ。幽人応(まさ)に未だ眠らざるべし。                     ― 韋応物作、秋夜丘二十二員外に寄せる詩 ― 」
通 釈 君のことを思いながら、秋の夜空の下を、散歩しながら、涼しい夜空をながめて詩を作っている。この山は、ひっそりと静まりかえっていて、松かさが落ちる音だけが聞える。 ひっそり暮らしている君も、きっとまだ眠ってはいないだろう。
語 釈
韋応物( 中唐の詩人・役人。その詩風は高潔で気品が高い。) 君( 友人の丘丹のこと。) 松子( 松かさ。) 幽人( 俗世をさけて、山の中でひっそりと暮らしている人。) 丘二十二( 丘は姓。二十二は排行。排行とは一族中の男子を年齢の順に数字をつけて称すること。名は丹。) 員外( 官名。員外郎。)

【講評】 字形、線質、流れ共に良く一席です。