読 み方
「 問う春は何(いず)れの処より来る、春来りて何れの許(ところ)にか在ると。月堕(お)ちて花言わず。幽禽(ゆうきん)自ら相語る。                       ― 高啓作 問梅閣 ― 」
通 釈 春はどこからやって来て、どこにあるのかと梅にたずねてみても、花は何も答えてはくれず、月も傾いて、あたりはひっそりと静まりかえっている。ただ谷間を出てきた小鳥が花 間を縫うて、さえずりあっているのを聴くだけである。春の所在は思うにこれであろうか。
語 釈
高啓(1332〜1370 中国明代の詩人。その詩は古人の長所を兼ね有し、小杜甫の称があった。) 幽禽(深山にすむ鳥。) 問梅閣(梅の勝景を以って名づけた閣であろうが、その所在は詳かでない。)

【講評】 形、流れ、安定感、いずれも優秀。一席です。