読 み方
「 山中相い送ること罷(や)みて、日暮柴扉(さいひ)を掩(おお)う。春草明年緑なるも、王孫帰るや帰らざるや。                     ― 王維作 送別 ― 」
通 釈 友人を山中まで送り、尽きぬ名残を胸にいだいて手を分った。さて夕暮わが家に帰り柴の戸をしめていろいろ行く末のことを考えて見るのに、明春になれば草は一陽来復に会って 再び緑に萌えるだろうが、しかしわが友は一度ここを出たあとで、また帰って来るかどうか分らないのだ。
語 釈
柴扉(柴の戸) 王孫(公子王孫の意。しかしここでは相手に対する尊称として使われており、友人のことをいっている。)

【講評】 形臨と線質の良さ、よって一席です。