読み方
遠く江上の笛を聴き、觴 ( さかずき ) に臨んで一に君を送る。還 ( かえ ) って愁う独宿の夜。更に郡斎に向 ( おい ) て聞かんことを。        ― 韋応物作、江笛を聞きて陸侍御を送る詩 ―
通釈
遠く江上にひびき渡る笛の音を聴きながら、別れの杯を挙げてひたすら君の旅立つのを見送ろうとしている。今でさえこんなに物悲しいのだから、君と別れてただひとり郡斎でとまった時に、この笛の音を聞いたら、どんにか悲しい思いがすることだろう。それが今から心配である。
語釈
觴 ( さかずき・酒杯 ) 郡斎 ( 郡の長官の官舎 )  韋応物 ( 中唐の自然詩人 )  侍御 ( 官名 )

【講評】 少し細いですが、卓抜した形臨です。