読み方
夜雪は寒江を明らかにし、沙 ( さ ) 村は已 ( すで ) に路無し。微茫 ( ぼう ) たる百尺の橋には、一人の渡るものも有らず。             ― 釈知影作、江村の夜雪 ―
通釈
夜、降りしきっている雪は、さむざむとした冬の大川だけを、はっきりと残しており、川辺の砂州(さす)にある村には、もはや道路は雪に埋もれてなくなっている。かすかにはるかな、百尺もある長い橋の上には、 1 人の渡る人もおらない。
語釈
釈知影 (1762-1825。江戸後期の本願寺派の僧。詩文を善くした。 ) 寒江 ( 冬のさむざむとした川 ) 沙村 ( 潮流・河流の運んできた土砂が積もって陸地となったのが、沙州で、その上に出来た村が沙村である。 ) 微茫 ( かすかにはるかなさま ) 百尺 ( 約 30 メートル )

【講評】 不断の練磨が物を言った首席作品です。