読み方
道徳天訓を承 ( う ) け、塩梅真宰に寄す。羞 ( は ) ずらくは監撫 ( ぶ ) の術無きを。安 ( いず ) くんぞ能 ( よ ) く四海に臨まん。                        ― 大友皇子作、述懐 ― 」
通釈 人のふみ行うべき道については天のおしえを慎んで受け、政務を処理するに際しては神意に従うようにする。ただ自分には、皇太子として天皇をたすけて、国を取り締まり軍をすべひきいる才略の無いのが恥ずかしい。こんなことでは、どうして君主として天下を治めることが出来ようか。
語釈
大友皇子 (648 - 672 天智天皇の皇子。即位して弘文天皇となられた。この詩は邦人作詞の最初のものとされている。 ) 述懐 ( 心に思うことを述べる )  塩梅 ( 塩と酢。食物の調味。転じて政務をよく処理すること。 ) 真宰 ( 造物主。天地万物を創造し、育て上げた神 )

【講評】 気宇の大きい間然する所の無い作品です。