読み方
「 霜鐘は五更に響けども、曙 ( しょ ) 色は未 ( いま ) だ全く明らかならず。屋後の桑楡 ( ゆ ) の上には、起烏 ( う ) の三両の声あり。                      ― 虎関師練作、暁 ― 」
通釈 霜の降りた夜の鐘は、午前四時の時刻を知らせて鳴りひびくけれども、夜明けのきざしは、まだすべてはっきりとしないで真っ暗である。けれども寺の建物のうしろにある木の上には、明け烏がふた声み声なき出した。
語釈
虎関師練 (1278 - 1346。わが国の南北朝時代の禅僧 ) 五更 ( 夜を五つに区分した第五の時刻 ) 桑楡 ( くわとにれの木であるが、ここは樹木の意 ) 起烏 ( 明け烏。夜明けに鳴くからす )

【講評】 結構整斉、筆力勁健な見事な作品です。