読み方
江辺に蛍火の乱れたるは、行客も夜来は稀 ( まれ ) なればならん。一路に涼は水の如 ( ごと ) くなれば高歌しつつ月に歩きて帰る。                                 ― 岡長州作、江上より夜帰る ―
通釈
川のほとりに、ほたるが乱れ飛んでいるのは、川の土手を行く人も、夜中には滅多にないからであろう。道中ずっと涼しさがひやりとして、水のように感じられるので、私は大声で歌いながらよい気持ちで、月影を踏んで帰宅する。
語釈
岡長州 ( 生卒未詳。讃岐 ( さぬき ) の人。儒者として高松藩に仕えた。 )  江上 ( 川のほとり ) 蛍火 ( ほたるの光 ) 行客 ( 道を行く人 )  夜来 ( よなか。来るは助字 ) 。高歌(声高く歌うこと)

【講評】 書品のある間然する所の無い作品です。