読み方
相 ( あい ) 送りて石塘 ( とう ) の上 ( ほとり ) を、徘徊 ( はいかい ) しつつ夕陽に到 ( いた ) れり。滾滾 ( こんこん ) たる長江の色よりも、別恨の長きを如何 ( いかん ) せん。
               ― 藪 ( やぶ ) 孤山作、人の郷に還 ( かえ ) るを送る ―
通釈
帰郷する人を送って、石の土手のあたりを、船の出るまでぶらぶらしているうちに、夕日のさす時刻になってしまった。盛んに流れて尽きない長い大河の景色よりも、別れを惜しむ気持が、更に長いのを、私はどうしようか。どうにもしようがなくて非常に悲しい。
語釈
藪孤山 (1735 ― 1802  江戸後期の儒者。肥後の人。 ) 石塘 ( 石で作った堤防 ) 徘徊 ( ぶらぶらする ) 滾滾 ( 水が盛んに流れるさま ) 別恨 ( 別れを残念に思うこと )

【講評】 一点一画に無理の無い最上の作品です。