読み方
帝崑崙 ( こんろん ) の雪を掬 ( すく ) い、之 ( これ ) を扶桑の東に置く。突兀 ( こつ ) として五千仭 ( じん ) 。 芙蓉 ( ふよう ) 碧空に插 ( さしはさ ) む。                        ― 秋山玉山作、芙蓉峰を望む ― 」
通釈 天帝は崑崙山脈の雪を両手ですくって、これを日本の国の東部に置かれた。それが富士山である。その高くそびえ立つこと五千仭、はすの花が青空にさし出たようである。
語釈
秋山玉山 (1702 ― 1763  江戸中期の儒者・漢詩人 ) 芙蓉峰 ( 芙蓉は蓮の異名。蓮の花に似た峰とは富士山のこと ) 帝 ( 天帝。造物主 ) 崑崙 ( 中国西部の大山脈 ) 扶桑 ( 日本国の異称 ) 五千仭 ( 一仭は中国周代で 1.5 メートル。従って五千仭は誇張的な修辞。富士山の高さに対する作者の驚きが、思わずそう言わせたのである。 ) 碧空 ( 青空 ) 插 ( さし出ること )

【講評】 緩急抑揚の宜しきを得た首席作品です。