玉泉の南澗 花奇怪なり 花叢に似ず火堆に似たり
今日 多情 只我到る 毎年故無くして誰が為に開く
寧 ( なん ) ぞ辞せんや辛苦して三里行くを 更に与に留連して
両杯を飲まん 猶 ( なお ) 一般孤負の事有り 歌舞管弦を 将 ( もち ) て来ず
玉泉帖と呼称されるこの一巻は、『白氏文集』巻六十四の中から四首を抜粋して揮毫したもの。
階・行・草書を織り交ぜ、文字の大小に極端な変化をつけながら渾然一体の調和美を醸し出している。
道風としては他に例を見ない自由奔放な書風で改心の柵であったようだ。
道風の最盛期になったものとおもわる。