「 越天楽今様 」




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春の弥生の あけぼのに  四方の山辺を 見わたせば

花ざかりかも 白雲の  かからぬ峯こそ なかりけれ


花橘も 匂うなり  軒のあやめも かおるなり

夕ぐれさまの 五月雨に  山ほととぎす 名のるなり


秋のはじめに なりぬれば  今年も半ばは 過ぎにけり

わが夜ふけゆく 月かげの  傾く見るこそ あわれなれ

冬の夜寒の 朝ぼらけ  契りし山路は 雪深し

心のあとは つかねども  思いやるこそ あわれなれ