「山房春事」  樋口游穂



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山房春事

梁園の日暮 乱れ飛ぶ鴉
極目 蕭条 ( しょうじょう ) たり三両家
庭樹は知らず人の去り尽くすを
春来 還 ( また ) た 発 ( ひら ) く 旧時の花

梁園の日暮れ時、空には乱れ飛ぶ烏。
二、三軒のほかには何もない。
かつて、ここに遊んだ人たちは失せたが、
庭の木々は、昔のままの花を咲かせている 。