「聞雁」  村中桜穂



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 聞 雁 (雁を聞く)

故園眇何處 歸思方悠哉 淮南秋雨夜 高齋聞雁來

故園 眇(びょう)として何処ぞ 帰思 方(まさ)に悠なる哉(かな)
淮南(わいなん) 秋雨の夜 高齋(こうさい) 雁(かり)の来(きた)るを聞(き)く。

故郷ははるかに遠く、いずことも見えわかぬ。
帰心ははてしなく、眠ることもできぬ。
この淮南の地に秋雨の降る夜、たかどのの寝室で、
雁のわたる声を聞く。