「藤村詩抄 椰子の實」  辰己恵翠



(拡大)

椰子の實(み)

名も知らぬ遠きし末(ま)よ里(り)
流連(れ)寄る椰子の實一徒(つ)

故郷の岸を離連(れ)亭(て)
汝(なれ)八(は)そも波耳(に)幾月(いくつき)

奮(もと)の樹盤(は)生ひや茂連(れ)る
枝八(は)な保(ほ)影乎(を)耶(や)奈(な)勢(せ)流(る)

わ連(れ)もま多(た)渚乎(を)枕
孤身(ひとりみ)の浮寝の旅ぞ